半人前主婦

帰りの遅い夫を待ちながら、今日も三歩進んで二歩下がる

夢の愛妻弁当

「今日のお弁当もまたハズレだったよー」
んーむ、聞こえない、聞こえない。ふり。

夫のお昼ごはんは会社で頼む1食290円の宅配弁当。独身時代からずっと。とにかく安い!
以前からあんまり美味しくないと聞いていたけど、近頃やたらとアピってくる。
後輩の愛妻弁当箱は大き過ぎるからあんなお腹になるんだと、文句を言ってみせたり、
暑くて食欲ないからサラダとか食べたいよねと、妙に健康思考なことを言い出したり、
今日のおかずはうどんだった、まいったよ、にはさすがにびっくりしたけど。白米のおかず、うどんか。ギクリ。

しかし、我が家の生活を考慮した上で、結婚当初からお弁当作りはしない方針を貫いてきた。強引な合意の下。
だって、週1ぷいっとサボった位で、やれコンビニ!やれ外食!で、余計に高くつきそうだし、何より早起き苦手だし、お弁当家庭で育ってないし、そもそもなんかお弁当ってハードル高い。自信ない。
安易に始めて、また挫折なんてこりごりだ。

しかし、夫の愚痴は止まらず。
おかずの半分は残したとか、揚げ物の油が古いのか最近胃が痛いとか。グサリ。
そう、夫がちゃんと食べてないのは嫌なのだ。

ある日、つい弾みで出てしまった、
私「お弁当作ろっか?」の聞こえないほど小さな一言に、
夫「え!いいの?嬉しい!お願い。」と即答。
私「げ?マジ?」の声は、もう彼の耳には届いていなかった。

わけで、意を決してお弁当作りを始めて、あっという間に半年が経った。
最初こそ冷凍食品を詰め込むだけのジャンキーなお弁当も、週末の作り置きにハマってからは、だいぶマシになって来た。そして、何よりこの作り置きが楽しい。
元々野菜をひたすら切る作業が好きで、ふだん料理をする時もスライサー等は一切使わず、包丁一本で千切りしまっくてきた。人一倍、手もよく切ってきたけど。

そう、作り置きの下準備は野菜をいっきに大量に切りまくることのできる、まぁなんといいストレス法だってこと!!!に気づいた。月に2回の作り置き日は早起きして、一心不乱にざくざくとんとん。清々しい。

不本意な始まりのお弁当作りも、今ではすっかり生活の一部になっている。
味を変え色を変え、日々試行錯誤。

新メニューを投入したお昼に、お弁当箱を開けた夫の顔を想像すれば、まぁやれないこともないなぁとニヤける。初の試みの炒飯弁当は当たった、麻婆春雨丼は残念ながらハズレみたい。

こうやって、我が家の生活も少しずつ変わっていくのか。不思議。