半人前主婦

帰りの遅い夫を待ちながら、今日も三歩進んで二歩下がる

暮らし始めて

里帰りから戻った。

育休とは呼べないほどわずかな休みを、それでも無理矢理会社から取った夫と、ほんの数日だけど、娘を挟んでベタベタと過ごした。
抱っこ紐もベビーカーデビューもいちいちお祭り騒ぎだ。バシャバシャとほぼ同じ顔の娘の写真を撮りまくる私たちの姿はバカみたいだ。可愛い我が子を前に、親なんてみんな、ほとんどバカみたいなんだ。

そんな3人で過ごす休みはあっという間に終わり、夫は泣く泣く仕事へ行ってしまった。これから1日の大半を2人で過ごすことになるのか。どんな毎日になるのだろうか。とりあえず、ずいぶん疲れたけど、無事に1週間楽しく過ごせた。(お風呂を除けば)

SNSチェックもしてない。むしろPCすら開いてないので、メールは何百通と溜まったままだ。オリンピックも見ないまま終わった。あ、ハーフパイプだけ少し見た。歩夢くん、かわいいなぁ。


世間の音が届かない。
少し静かでさみしい気もするけど、そのかわりに百面相の娘が我が家を明るくしてくれる。泣き出したかと思えば笑い出し、笑ってたのに突然泣き出す。飽きることがない。

ことばが話せない今、こころの中を母であり大人でありことばをコミュニケーションツールにする私は、どれだけ想像できるだろうか。集中できる日もあれば、空振り続きの日ももちろん。


とりあえず里帰りから帰ったので、片付けたい家のことが山にあるのだけど、なかなかやりきれないから、なんでもよくなってしまった。カラフル過ぎる赤ちゃんグッズが散乱している部屋を一刻も早く片付けたかったはずなのに、もうどうでもよくなってきてしまった。
のびきったラーメンも冷めたスープも別に不味くない。入るお店も変わったし、ゆっくり安全運転、今はどこへ行くにも娘が最優先だ。
何をするにも今までの3倍、いや5倍?は時間がかかるから、1日が一瞬で終わる。
だから、すべてはできるところまで。
育児のストレスで上位に上げられる、「最後までやりきれない」家事に始まり、例えば趣味の読書や自分のお風呂。
これからヒシヒシと痛感させられそうだけど、こだわりはどんどん捨ててしまえればいいよね。そんなに大層なこだわりなど元々ないのだから、抜けるところは手を抜いて、宅配ピザだっていいじゃないか。変に神経を使い過ぎては、身が持ちそうにないもの。
ある意味生活がシンプルになりそうだ。

家事なんてこの先飽きるほどできるから、
本だってこの先いくらでも読めるから、
大人のごはんなんて一食くらい抜いたって倒れやしないから、
洗濯物が少し溜まったって着る服に困ることはないから、
娘といっしょに昼寝しちゃおう、それがいい。

まぁそうは余裕気に言ってみたものの、「なーんもできない」は大袈裟だけど、結構ほんとになんにもできないのだ。自分の都合では。
やっと寝かしつけた娘が腕の中、お腹がぎゅるぎゅる痛かったって、いったん我慢して、波が去ってくれることを静かに祈ってしまうもの。そら、便秘にもなる。

だから、日々小さなやりきれそうなことをメモして、今週のやりたいことリストを作り、やりきった満足感を味わうことにした。

例えば、
・冷蔵庫整理の献立を考える
・スニーカーを一足磨く
・あれとこれをメルカリに出品する
・食べてみたかったお菓子を取り寄せる
・休日に行きたいお店と見たいものを書き出す
BOOKOFF行きの本をまとめる
と、こんな具合だ。

大物で言えば、後回しにすると手遅れになりそうな、撮ったまま眠っている写真たちのアルバム作りを少しずつ始めたい。店頭に行かなくても、今ならネットで現像も頼めるし、のんびり〜だけど着実にやりたいことの一つだ。
あと落ち着いたら、髪の毛もさっぱり切ってしまいたいぜ。

そんなわけで、新しい暮らしが始まった。それも、ばかりだ。
まだリズムが掴めていないから、毎日めちゃくちゃだけど、この2ヶ月でずいぶん気が長くなった。

そして、今まで「夫婦水入らず」だった出来事を、夫が「家族で」と言い換えたのが、なんだか新鮮で。そんな暮らしが始まった。
これからは何をするにもどこへ行くにも家族3人なんだね。初めてすること、初めて行く場所、お祭り騒ぎはまだまた続きそう。