半人前主婦

帰りの遅い夫を待ちながら、今日も三歩進んで二歩下がる

丁寧な暮らしや田舎暮らしに憧れて

だけど、私は虫が苦手だし、そんなにタフじゃないし、器用でもないのだから、どうもずいぶんな思い違いをしていたように思う。今となっては。
子どもと暮らすようになって、明らかになってきたいろいろ。

なんでも手作りできちゃうような丁寧な暮らしに憧れたけど、手作りって、そう簡単に出来ることじゃないんだった。
静かな田舎で暮らしたいと思って、ここへ引っ越す前に山の麓で暮らしてみたけど、なにせ夫の帰りが遅いものだから、毎晩心細かったりした。

うん、生意気言ったわ。

好きなことじゃなければやっぱりやらないし、続かない。

やってみたいことはたくさんあるけど、味噌作りも家庭菜園も裁縫も別に好きじゃないんだとわかったら、気が楽になった。
やってはみたいけど、やらないんだもの。

私は美味しそうな天然酵母のパン屋さんを巡ったり、美味しそうな味噌を買って食べるのが好きなんだった。
ごくたまに母に裁縫を教えてもらいながら、チクチクやるけど、それだって布選びと出来上がった物を使う方が好きなんだ。あぁ、なんという思い違い。

近頃はよりやりたいことが絞られてきたせいか、店主のセンスが光る本屋や大きい図書館、個性的な映画館が近くにある暮らしが、改めていいなぁと思っている。

あと、歩いて行ける距離に八百屋と魚屋と肉屋と美味しい定食屋があって、出前をしてくれる蕎麦屋なんてあったりしたら、もう最高だよ。てな具合。

そうすると、必然と都会というか、
(都会って言ってもだ、私の住む県はめちゃめちゃ田舎だから、この時点である意味田舎暮らしの端くれみたいな気もしちゃうんだけど)
田舎ではない、諸々揃っているところで暮らす方が、理想の暮らしに近いんだった。


要は下町だ!
アーケードに小さな商店が並ぶ、あれだ。
アーケード街をぶらぶら買い物して帰る、あの感じ。車なしでは暮らせない私の住む県では、なんだか贅沢に思うんだよね。


やっぱり思い出すのは、月桂冠のCMか。

youtu.be

 

初めて観た時のなんとも言えぬ幸福感は、何年も経った今でも、胸をいっぱいにする。2005~2006年頃か、まだハタチそこらのコギャルみたいだった私が、世界の片隅で暮らす何者でもない夫婦の小さな暮らしに、心奪われたんだ。何にもなれないような、でも、何かいいもの見つけてしまったような気がしたんだ。

住んでみたい町の景色に家族3人の姿を浮かべて、“んー悪くない悪くない”と繰り返し、ニヤニヤしている。もれなくBGMには「のうぜんかつら」が流れていて。


あ!でも、海なし県で生まれ育ったので、海の近くで暮らしたい憧れはやっぱりある。それも日本海より、爽やかな葉山あたりだな、はは。
南の小さな離島もいい。うん、海はいい。海があれば、ネットで本買うんでもいいや。あれ。
ま、夫が今の仕事をがんばってくれているうちは夢みたいな話だから、日々妄想して楽しんでいるに過ぎない、非現実的な話だけど。

最近はつい安定ばかり考えてしまうけど、気持ちよく暮らせたら、少しくらい不安定だって、楽しめそうだ。
ぼちぼち、いい塩梅で、いい湯加減で。

はて、5年後、10年後はどこでどんな暮らしをしているんだろうな。